COINSコンパイラ・インフラストラクチャ協会の設立の趣旨


発起人:
 上田和紀、牛島和夫、枝廣正人、笠原博徳、佐々政孝、佐藤三久、田中英彦、
 近山 隆、千葉 滋、土居範久、中田育男(代表)、萩谷昌己、林 弘、
 藤瀬哲朗、藤波順久、前田 章、三嶋良武、村岡洋一、森 公一郎、
 山之上 卓、山本晋一郎、湯浅太一、弓場敏嗣、吉村鐵太郎、渡邊 坦

 コンパイラの作成には高度な技術と膨大な労力が必要だと思われています。
しかし、もし、コンパイラの基本的な機能が組み合わせ可能なモジュールとして
備わっていて、それらを組み合わせたり、新しいモジュールを追加したりするだ
けで、目的に応じたコンパイラを作ることができるとしたら、新しいコンパイラ
の開発や、コンパイラ技術の研究は著しく容易になるでしょう。
 COINS (COmpiler INfraStructure) プロジェクトでは、これを実現するために、
平成12年から16年まで文部科学省の科学技術振興調整費を頂いて、COINSコンパイラ
インフラストラクチャを開発しました。現在、入力言語として C, Fortran77、
対象機種としてSparc, Intel x86 が扱えるようになり、その自由な組み合わせが
可能となっています。さらに、ARM, MIPS, PowerPC, SH4に対してもコード生成が
可能となっております。共通式削除などの基本的な最適化機能と、SSA最適化機能
を備えています。SSA最適化に関しては、各種の機能を完備しており、新方式の
部分冗長性除去機能を備えています。また、ループ並列化、SMP並列化に加え、
先進的なSIMD並列化の機能も適用範囲に制限はあるが組み込まれています。
オブジェクトコードの実行性能は、gcc -O2 に近づきつつあります。
 これを利用すると、組み込み用など、新しいコンピュータに対するコンパイラや、
新言語用のコンパイラ、新機能を持つコンパイラ、新技術を織り込んだコンパイラ
などを容易に作ることができます。そのことは、学部学生が半年あまりでMIPS,
PowerPC,SH4のコンパイラを作成したことでも実証されています。もちろん、現状
のまま利用することもできます。コンパイル過程を図式表示する機能もあって、
教育用にも大いに役立ちます。これを元にして商用コンパイラを作ることも可能です。
 このたび、これのソースプログラムを原則無償で開示し、広く利用できるようにす
るとともに、それをより高度化するためにCOINSコンパイラ・インフラストラクチャ協会
(略称COINS協会)を設立しようとしています。本協会は会員相互の協力を通じて、本
インフラストラクチャの改良、保守、配布を行うとともに、その利用技術の交流など
を通じて、コンパイラ技術の発展と高度化をはかろうとするものです。

発起人代表 中田育男